韮崎市のお寺様墓地にて、傾きやズレが見られるお墓の基礎・外柵のリフォーム工事。十分な強度を確保した、将来にわたって安心のお墓

ホームページをご覧いただきありがとうございます。甲府市を中心にお墓のお仕事をさせていただいております、多田石材店の多田です。韮崎市松雲寺様の墓地にて、お墓の基礎・外柵等のリフォーム工事をさせていただきましたので、その様子をご紹介いたします。

【韮崎市寺院墓地でのお墓工事】

 

お寺様からのご紹介で、49日のご法要までに戒名彫りをしてほしいというご相談をいただきました。まずはお寺様へ向かってお話を伺い、ご一緒にお墓の確認等をさせていただきました。

 

こちらがお客様のお墓です。立派な墓前灯篭のある大きなお墓です。ただ、一見して左右の灯篭が内側に傾いているのが分かります。写真では分かりにくいですが、お石塔も少し傾きが見られました。基礎の見えている部分にはヒビがはいっているところもあり、お墓が全体的に傾いているような状態でした。

 

傾いていたお石塔の向かって右後方です。芝台の下に、通常はこういったところにあるはずはない不自然な石が見えています。後で解体して分かったことですが、どうやらこの石でお石塔を支えていたようです。お客様とご一緒に、こうしたところもひとつひとつ確認をしていきました。

 

お墓の右後方の外柵です。2、3cmほど、完全にずれてしまっています。土圧で外側に押されていることが原因のようです。

 

こちらも右側の外柵です。ここもずれて開いてしまっています。また、石の一部には、直角であるはずの部分がきちんと加工されていないところも見られました。お客様はこのほかに、納骨室がどういう状態なのかも気になっているとおっしゃっていました。

ひとつひとつ確認して、こうしたずれや傾きの基本的な原因として、お墓の中の土や外柵が、土圧に対して補強されていないことが考えられることをお客様にお伝えしました。こうした場合、一度すべての石を取り外して補強などをしなおすことが修理の方法のひとつとなりますが、今後安心してお参りいただけるようにすることも考えて、外柵だけでなく基礎も直すパターンを含む、何通りかのお見積もりを差し上げました。その後、お墓の石を取り外したところで、基礎の状態や、気になっているとおっしゃっていた納骨室の状態なども実際に見ていただいた結果、将来的なこともお考えになって基礎工事からやり直すことになりました。

 

基礎工事が始まりました。お墓の石をすべて取り外し、既存の基礎も撤去して、土を掘り下げています。今回は60cmほど掘り下げています。当店ではいつもしっかりと掘り下げて基礎工事を行いますが、今回の工事は作り直しということで、結果的に費用がかかることになってしまったお客様に安心していただけるように、特にしっかりと掘り下げました。

 

砕石を入れて転圧し、地盤を固めています。砕石は厚めに敷いて、十分な強度を保ちます。

 

砕石を入れたあと、コンクリートを流し込むための準備として、木枠を組んで、その周りに鉄筋を組みました。鉄筋は2重に組んでいます。こちらも特に強度を確保するための施工です。

 

基礎が完成しました。手前の大きなスペースは石が載らない部分で、水抜きの穴を兼ねています。奥の方の3つも水抜き穴です。

 

今回は、既存の石をそのまま利用します。外柵の石の一部を、きちんと直角になるように加工しました。そのままでも据え付けることはできますが、仕上がりや強度を考えてきちんと加工してから据え付けます。

 

外柵の羽目石です。囲いの玉垣部分です。接着面にセメントがついていたのでそれをきれいに清掃して、こちらも角度や寸法を直したりしました。セメントがついたまま設置すると強度も弱くなってしまいます。今回、こうした加工はお寺様のお庭をお借りして現地でさせていただきました。

 

外柵が完成し、納骨室を作成しました。墓地の内部は、灯篭や墓誌の傾きがまた出ないようにしっかりとコンクリート施工しました。草止めも兼ねています。

 

お墓本体の台座をクリーニングしています。以前はセメントで接着されていたところをはがして、お墓もきれいにクリーニングしました。

 

外柵の一番上、角の柱との接着部分です。たっぷりの墓石用ボンドを塗布して、十分な強度を保ちます。石の表面をきれいにしてから接着することも重要な点です。黄色いテープは目地をきれいに打つための養生のテープです。

 

塔婆立てです。塔婆立ては、地域特有の強風であおられて倒れてしまうこともあります。左のように塔婆立ての底面には穴を開け、基礎に埋め込んだ右のステンレスの心棒を穴に差し込んでかみ合わせるようにして設置します。 X 印に加工しているのは、モルタルで接着して乾いてからも石が横にズレたりすることを防ぐためです。

 

お石塔の棹石を設置しようとしています。この蓮華の花の台の上に棹石を設置します。ここでも、きれいにした台の上にたっぷりとボンドを使用しています。

 

完成です!

すべての据え付けが終わってから、高圧洗浄できれいにクリーニングをしました。階段部分など、黒い汚れが目立っていたところもきれいになっています。明るい色合いの玉砂利も入れて、お墓が全体に明るくなりました。

 

外柵上の柱の部分です。ずれて開いてしまっていたところも、このようにしっかり据え直しました。

 

一番ずれていたところです。シリコン目地をきれいに入れて仕上げました。見えない部分もしっかりと強度を保つ工事をしなおして、今後は安心していただけるお墓になりました。

 

墓誌には、当初のご依頼だった追加の彫刻をしています。ご納骨の当日、きれいにお花を供えられたところを写真におさめさせていただきました。

完成したお墓をご覧になったお客様には、大変喜んでいただけました!クリーニングをしたことも喜んでくださり、きれいになったお墓で49日のご法要を迎えられたことをとても喜んでいただけました。快適できれいになったお墓で、亡くなられたご主人様やご先祖様にも気持ちよく眠っていただけているのではないでしょうか。

今回のお墓は、建てられてから10数年経っているお墓でした。建ててすぐには気付かなかった点が時間が経ってから出てきた形でしたが、基礎からやり直したことでこの10年ほどの間に2回お墓を建てるのと同じくらいの費用が結果的にはかかってしまうことになり、お客様にはご負担になったと思います。初めからしっかりと強度を確保していれば必要ない出費で、かといってこのままでは万一の揺れなどの際は危険でもあります。今回の工事では、見えない部分でもきちんと施工しておくことがいかに大切かということを改めて感じました。今後も、長い間安心して受け継いでいっていただけるお墓作りのお手伝いができるよう、いつも通りではありますが、ひとつひとつ丁寧に、手を抜かず誠実な仕事を心がけて参ります。